第25章 わたしたちが結ばれない理由

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ただわたしの身の振り方の方針が決まった、といった顔つきで安堵している様子の彼に向かって密かに胸の内で呟く。 これで子どもっぽい思いの矛先をごまかせた、やれやれとか安心してると甘いんだから。わたしは絶対にあなたを捕まえる。 ここに来て棚ぼた的にいきなり出てきた唯一の希望の源、諦めかけてたところに彗星のように現れたチャンスだもん。そう簡単に手放すわけがない。 ひたすら自立に向けて努力を続けさえすれば彼と結婚できるエンドを手に入れられるかもしれない。そう思ったらいくらでも頑張れる。これからは視界に入った具体的な目標に向けて前向きにちょっとずつでも、こつこつ進んでいけると思う。 だから、せいぜいそうやって油断しているといいですよ。わたしの意外なしぶとさ、お見せしてあげますから。 どさくさに紛れて一回くらい彼の手をしっかり握ったり間近にある滑らかな頬にそっと軽く唇を当てたい、とかなり本気で考えたけど。ここで調子に乗ってはしゃぐのは考えものだ。 今はなるべく落ち着いて振る舞って、彼を警戒させない方がいい。これで彼を攻略できる目処が立った、とこっちは満足していることを察知されたりして。もしかしたらやばい約束気軽にしちゃったのでは…、と彼に気取られることのないよう、平静な顔つきを保たなきゃ。 見ててください柘彦さん。わたしは絶対、あなたによくこれだけのことやり遂げたね。と感心してもらえるくらい頑張れるんだからと心の中で堂々と宣言しつつ、表面上は彼の前でしおらしく頭を下げて絶対ですよ。約束忘れないで守ってくださいね、と重ねて縋って、更なる言質を引き出そうとするのだった。 そうしてそれからもまだいろいろあって。実際に、五年近い月日がゆったりと流れていった。
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