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サトウの体が震えて今にも倒れそうだ。
「わかった!もうちょっと耐えてくれ!」
俺は、真っ暗なその穴に飛び込んだ。
次の瞬間、俺は、ガバっと飛び起きた。
「キャーッ!」
悲鳴が聞こえた。
すぐそばにいた坊主は腰を抜かし、お焼香をしていた従妹は泣きながら目を丸くしていた。
「ケイくん!」
「おい、啓二が生き返ったぞ!」
両親は泣いて喜び、俺に抱き着いてきた。
よかった、俺、助かった!
俺はもう少しで、出棺されるところで、寸でのところで火葬を免れた。
「はぁ~、死ぬかと思った」
俺の第一声である。
死神のサトウ。あれは、全部俺の夢だったのだろうか。
とにかく、俺は生きてる!
日をあらためて、俺は、バイトの面接に行ったが、見事に落ちてしまった。
傷心の俺は、自動販売機でジュースを買った。
「落としましたよ?」
ジュースを自販機の排出口から取り出していると、後ろで声がした。
俺が振り向くと、そこには黒ぶち眼鏡の中坊が立っていた。
「・・・サトウ?」
それは、まさしく死神のサトウだった。
「死神、クビになっちゃいました。下界に降ろされちゃって。」
サトウは笑いながら、俺に拾った10円を手渡した。
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