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途中、支配人の様子が気になり、陰から覗いてみると無表情で掃除機をひたすらかけている姿に何だか可笑しくなり、声を潜めて笑ってしまった。
細かい物を補充し、最終チェックをし終了。
お風呂周りを掃除をしたせいか、汗なのか、知らぬ間に濡れたのか、ブラウスがしっとりして、額にも汗の粒がついている。
「……お疲れ様」
ボソリと言われ、タオルを投げられる。
「あ、有難う御座いますっ」
お礼を言い、投げられたタオルを受け取り、汗を拭う。今、一瞬、私の身体を上から下まで見渡された気がしたけど?
「今日はもう上がるか?疲れただろ?」
掃除用具を台車で運ぶ途中、優しく話をかけてくれた。
「えっと、まだ大丈夫です。頑張れますっ」
「そうか。じゃあ、少し休憩しよう。」
その後も口角をあげてフフッと笑い、流し目で私を見ながら言ったので、私は頬に火照りを感じて顔を反らした。
「……はい」
か細く、聞こえるか聞こえないかのような声で返事をして、まともに支配人の顔は見れなかった。
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