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やるせねえ、どうしてこんな風になっちまったんだ、竹沢さんは呟いた。伊香はなにも言わなかった。もしかしたら頭を打ったのかもしれない。
そして竹沢さんは着ていた白黒ストライプの背広を脱いだ。
ネクタイを緩めて、プチプチ、とシャツのボタンを外していく。ジャッ、と音がして、竹沢さんはシャツを自分の体から剥いだ。
捨てたシャツ、その上に肌着が乗っかる。見上げれば竹沢さんが背負った鯉が見えた。
でっかい鯉だ、竜になる為に滝を登っている、鮮やかな赤だけが浮かび上がって、不気味に見える。背中に脂肪はない、ゆっくりと伊香に歩んでいく竹沢さんは、カチコミに行く時のようだった。
おい淫、売。
「なんでも言うと言ったか…、なら言ってもらおうか、」
「カツ坊」
「今日は溜まってる、上の連中に槍玉に上げられてムカムカきてるし安い女に抱きつかれて体も匂う。御託はなしだ、泣き入れても許さねえぞ」
「向こうで」
「見せりゃあいい。どうせこいつらだって切羽詰まれば女だって男だって構わねえ節操なしだ。起きたらそれはそれで楽しめばいいだろう、ケツをほじってもらえれば誰だっていいんだろうが。こいつらも俺も今だけが人生だ、未来も明日も想像なんて出来ねえんだよ。したって無駄さ、予定はたたねえ」
ペッ、と竹沢さんが唾を吐いて、伊香の足元にヤンキー座りでしゃがむ。
う、と伊香が唸るのも構わずに竹沢さんが伊香のズボンを剥がしにかかる。ガチャガチャうるさい音が止んだと思ったら、ブリーフが俺の近くに飛んできた。
「今日は容赦しねえ、腹ん中まで種付けしてやる、おい俺のマラを触って見ろよ…はは、一回出した癖にまたビンビンになっていやがる。年は食ったがまだ現役だ…こいつで思う存分掻いてやる、肉の壁をゴリゴリ…ってな」
「カツ」
「ああ、いい匂いがするな、おじさん。栗の匂いだ。嫌だ嫌だと言いながらモッコリさせてるんじゃあ、言い訳できねえな。変態だよ、お互い変態だ」
言いながら、竹沢さんは自分の指を一本、口に含み、少ししてから出した。
そして、伊香の足首をそっと持つと、自分の肩にかけて一気に持ち上げた。ケツの穴が真ん前の竹沢さんは、今どんな気持ちなのか。
月だけが見ていた。
真っ正面からあの人の顔を見つめ、青白い光で照らしている
海の中のような静けさだ。
コポコポ…と空気清浄機の音だけが聞こえてきて、俺達はそしらぬ振りをして息を潜めていた。
唐突に竹沢さんは目の前のケツに頭を埋めた。
じゅるじゅる、と音を立てながら頭を揺らす、伊香の足が大袈裟に上下に振るのを気にせず貪るようにケツの穴をすする、頭を揺らしながら右手を真っ直ぐに伸ばしてまん中の指をゆっくり立てた。
ぬらぬらと唾液がへばりついたその指を、貪るように食らいついている穴に持っていく、とたんに竹沢さんは技術的になった。
「う、ああ」
指を上手に使いながら埋めていく、バイブのように揺れた腕、竹沢さんの体の隙間から指がずるずると穴に飲み込まれていくのが見えた。憎しみを込めたように深く差し入れた指を動かしながら、竹沢さんは立ち上がる。
凶器は、準備万端だった。差し入れた指の動きが止まり、左手がケツに伸びる。ぐっ、と尻タブが開かれたと思うと指を抜いて竹沢さんは自分の海鼠を握った。
「もう、待てねえ」
「カツ」
「くれ、と言えよ。俺もお前と繋がりてえ、と。好いた惚れたの言葉は聞いちまったら、もっと欲しい欲しいになっちまう。だったら俺をくれ、とだけ言え」」
お前に痺れてるんだ、竹沢さんは切羽詰まって鳴いた。伊香は黙っていた。
それから、かすれた声で我慢できねえ、お前をくれろと呟いた。
伊香がそう言った途端、一気に竹沢さんは穿った。
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