黒いほころび

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黒いほころび

午後6時。 いつものようにステーキ店を開けようとしたが生憎、強い雨が降っている。 予報では昼には雨も上がると言っていたのにと清水(しみず)店長兼この店のオーナーは薄暗くなった外で暖簾を掲げる。 狭い店舗なので10席ほどしかなく、ステーキ屋としては珍しく立ち食いを売りにしている。 立ち食いだからステーキでも価格は安く、大衆向けである。 ステーキと言えば高級な食べ物をイメージするが、気安く食べれるようにと立ち食いスタイルにした。 立ち食いのメリットは客の回転率が高いことだ。 清水は止みそうもない雨を見てため息をつく。 それでなくとも大した人気のない立ち食い屋。 雨では客足も伸びそうもない。
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