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1800万もの退職金があり、それでマイホームのローンもめでたく完済出来たのだ。
組合からと同僚からの餞別は細かく言えば退職金とは別個の性格なのだと倉田は思う。
銀行口座に入らないあの金は他の退職者でも家族には秘密にしておき自分の懐に入れてる奴も多くいるはずだ。
「いや待てよ」
倉田はそろそろやめようかと考えている煙草をくゆらせて思案する。
「この中から2、3万ほど千代子にあげるか。お前の好きなように……服でも買いなさいと」
うむ、それがいいと煙を吐いた。
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