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倉田は外に出た。
あれほど楽しみにしていた金木犀の花も実が落ちてしまいもう香りもしない。
しかし倉田には本日別の楽しみがある。
それは例のお金で元の会社の同僚に少し値が張るお土産を差し入れするという名案が浮かんだことであり、高級な銘菓を差し入れたらおそらく元同僚はびっくりして感謝してくれるはずだからである。
何しろ倉田にはあの15万を自由に使えるのだ。
元同僚が普段は多分、滅多に口にすることのない高い銘菓を差し入れすればみんな驚くには違いない。
まだ金を使う趣味を発見していない倉田だからかっての同僚に使うのも決して惜しくないのだ。
「フフ、あいつら絶対に喜ぶぞ」
妻に幾らかやっても金はまだ充分にある。
前回、会社に顔を出してからかれこれニ週間が経過していた。
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