黒いほころび

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清水のこの店は正真正銘の神戸牛を使用しており、利益は少ないが客には好評だ。 内装にも凝った一流のステーキ専門店なら軽く1万はする値段である。 当然、利益を上げようと思うなら値上げすればよいのだが、そこは立ち食いスタイル。 1枚5000円も6000円もするなら誰も寄り付かないだろう。 特上ステーキが5000円なら大サービス価格である。 清水が目指すのはあくまでも立ち食い。大衆的なステーキ屋なのであり、ニンニクも特産を使用している。 つまり、どちらかというと薄利多売なのだ。 だから客の回転をなるべく早くしている。 それでもここ数ヶ月はずっと赤字続きなのだった。
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