黒いほころび

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「ふ〜、店長、やっと落ち着きました。でも、さすがは神戸牛。お客さんは全員舌鼓を打ちを打って満足そうでしたよ」 たった一人のアルバイト、豊島がやれやれと椅子に腰を下ろす。 「豊島君、すまなかったな。ろくに休憩も取らせられずに」 今夜みたいに満員になると豊島が休憩する暇もない。 清水一人で注文を聞き、中には店側で焼いて欲しいという客もおり、とてもじゃないがそんな芸当は出来ない。 しかし、またいつものようにひと晩で計10名ほどしか来客がないならそう簡単にアルバイトを増やせない。 人件費は最も削りやすい支出なのだ。 そうは言っても売り上げを計算する清水は破顔している。
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