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目を開けたら、知らない荒野に佇んでいた。 なにここ。え、意味わかんない。どここれ。 荒野には不釣り合いな軽装のシャツと短パン姿の少女、ホシオトはきょろきょろと辺りを見渡した。視界の遥か果てに水場があるようだ。それ以外はだだっ広い砂の地面が続いている。 日差しが厳しい。焼けて死にそうだ。行ったこともないが、砂漠にいるみたい。とにかく、あの水場まで行こう。状況も飲み込めないままに、けれど生存本能が働いて、足は自然と砂を蹴って水場を目指す。 しかし、何もない広い空間にいると、遠近感覚が狂うらしい。歩いていけばすぐに着くだろうと思った水場が、歩けど歩けど近づかない。 「なにあの池。足でも生えてるんじゃないの……」 悪態をつきながらのろのろと前に進み続ける。しばらく歩き続けていると、幸いなことに日が傾き始めた。おかげで少しは温度も下がった。とはいえ、直に夜が来ることを考えれば楽観的にはなれない。とにかく、誰かに会って状況を整理しなければ。 あの水場に誰か休んでいてくれればいいが。 ようやくたどり着いた水場は、木々が生い茂り大きな池がたっぷりの水を湛えている。とても涼しげだ。周りを砂漠のような荒れ野に囲まれているとは思えない。 それにしても、一見したところ誰もいないようだった。ここにさえたどりつければ万事解決するような気がしていただけに、落胆は大きい。 ため息をつきながら、ホシオトはじいっと池の水を睨み、ごくりと生唾を飲み込んだ。今、自分の持ち物はない。当然、コップなど所持しているはずもなく、池には水を掬って飲むための柄杓など備え付けられているはずもない。下品だとは思ったが、生命活動を維持するためにはやむを得ない。地べたにうずくまり池の水を掬う。澄んでいて、見たところ不純物も浮いていない。飲んでも大丈夫、だろう。 こくり、と飲み込んだ一雫がみるみる喉を潤していく。生き返る。水ってこんなに美味しいんだ。
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