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1-5 おもむろに、ロベルナが口を開いた。 「……異次元に繋がるとかいう洞穴なら、知ってるぜ」 「え、ほんと!?」 「大陸の果てに、そういう不思議〜な場所があるんだと。ガセかもしれねぇけどな。お前の元いた世界に繋がってるかどうかだってわかんねぇ」 「物は試しでしょ。ねえおじさん、そこまで私のこと連れてってよ」 「はぁ? なんで俺が。自分一人で行け」 「今日この世界に来たばかりの女の子が、どこにあるかもわからない洞穴なんて行けるわけないでしょ!? あんた人の心ないわけ?」 「知るかよ……俺になんの関係がある」 「だって、私あんた以外に知り合い居ないし」 「それも俺の知ったこっちゃねえ」 「うう……じゃ、どうしたらいい? どうしたらあんたは私をその場所まで連れていく気になるわけ?」 「ならねぇ」 「どうしても?」 「そうだな」 「こんなに可愛い子と旅できるんだよ? 良くない?」 「……なんにせよ、俺は人間の女のガキは範疇外でな。もっと毛深くてしっぽのふかふかした……女なら、まあましだな」 「え、毛深い方がいいとか趣味悪…… あ、そうか獣人だもんね、体毛もふもふじゃないとだめなんだ、よくわかんないけど。まあいいや。じゃあ途中まで馬車に乗っけてってよ。あんたの行くとこまででいいからさ。それ以降は自分でなんとかする」 「ほう、えらく聞き分けがいいじゃねえか」 「あんた頑固親父っぽいし、頼んでも無駄なら意味ないし」 「そうそう、俺に頼み事なんて100年早いぜ」 「いつまで生きる気…… そのかわり私がテント使うから。あんた外ね」 「ほんっと生意気だな。ああ好きにしろよ、どうせもう2、3日で目的の町には着くんだ。それまでの辛抱だからな。ったく、あーあ、こんなガキに懐かれちまうならオアシスなんて寄るんじゃなかった」 「別に懐いてないし! 誰があんたみたいな犬!」 「俺は狼だ、あんな弱っちい生き物と一緒にすんな」 「同じようなもんでしょ! 人の心のない狼さん! テントの中絶対覗かないでよね、おやすみ!!」 「あーあー、早く寝ちまえクソガキ! というか、俺はロベルナだって名乗っただろ、いい加減にしろ」 「聞こえなーい」 「……ほんっと、可愛くねえガキ拾っちまったもんだ」 はあ、とロベルナの盛大な溜め息が夜に溶けた。
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