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だって知らない人だもの。私の母は食べられたのよ、この人によってね。
それなら殺してしまおう、
私が食べられる前に。
それなのに私には人を殺す勇気がなかった。どんなに憎み恨んでも人だけは殺せなかった。
あの人がいなくなれば私は幸せになれるはずなのに。
ふと、遠くに住む姉の言葉を思い出す。
「私たちはお母さんがいなければ生きていけないのよ。だって、お母さんのお金で生きているのだから、ね、喧嘩しちゃだめよ」
けどお姉ちゃん。それはお母さんの話でしょう?あの人はお母さんじゃないわ。
きっと姉にこんなことを言ったら困惑するばかりで何も解決などしない。けれど、私の中にためこまれたあの人への憎悪がいつかあの人を殺すかもしれない。
私は持っていた灯油缶をクッションの上に落とした。
そうだ、燃やすのもいいかもしれない。
けど、人に迷惑がかかるわ。
お母さんはそれだけはするなと言っていたし、、、。
いつの間にか、私は口に出さずに頭の中で言葉にすることが多くなっていた。あの人に向かって話していたつもりがただ心の底でぶつぶつと呟いていただけであったり、目で何かを訴えていたり。そんな私の態度をあの人はひどく嫌う。いつもイライラして、いつも不機嫌に話す。私は一日中家の中に一人でいるから、自然とこうなったのにあんなにも拒絶的に私を嫌うから何も言い返せない。
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