まさに、青天の霹靂

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「姫、元気ない?」  フワリと笑って、覗き込んできた慶寿の周りには、いつも取り巻きの女の子がいっぱい。  学校(ここ)では、人前であまり話しかけないでと言ってるでしょうに!  あと、「姫」呼びもダメって言ったじゃん!!  ほら、皆の視線が私に刺さってる!! 痛い!  一番のモテ男である慶寿は、寺の息子でありながら耳にはピアス。長髪をキュルンとまとめたおよそ男子高生らしくない髪型。色白で端正な顔立ちから、色気を醸し出している。  趣味は写経、そして家では食べられないコンビニのチキンをこよなく愛す男。いつか、彼の父である住職に告げ口してあげよう。  人を惑わすように妖しく笑う癖があり、女の子皆に優しいから、そりゃもう私以外の女子はコロッとね。  わかってた、人たらしの素質があるってことは薄々気付いてた。  その笑顔のせいで、いつも私に火の粉が降りかかるってことも。  慶寿の言葉を無視していたら。 「姫が元気ないと心配になるよ?」  なんて、私の頬に手を添えて微笑んでみてごらんよ。  一斉にまた嫉妬の目が私に向くわけ、ホンット勘弁してほしい。
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