まさに、青天の霹靂

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「トイレ行ってくる」  バシッと慶寿の手を跳ねのけて、居心地の悪さに逃げるように、トイレに向かう途中で。 「どこ行くの? 天音ちゃん」  大きな壁が目の前に立ちはだかる。  3月3日、桃の節句生まれ。一見眼鏡をかけた野暮ったそうな凌ちゃんは筍のように真っすぐスクスクと伸びた。  身長も性格も曲がらず、素直に。  この高身長のおかげか、バスケ部のエースだし。童顔で愛らしい顔立ちは、この体格には不釣り合いかと思いきや、そのギャップがいいらしい。  私以外の女子と話すのは苦手らしくて、イチイチ顔を赤くするから、可愛い、なんて言われてる。 「ねえねえ、見て!」  ジャジャンっと凌ちゃんがポケットから出したのは、大福だった。 「ん?! んんん?!」  かすかに中身が赤色がかって、いるような?  これは、もしや!!! 「苺大福~!! はい、天音ちゃん」  やった!! 今年初の苺大福~!!  どうぞ、と差し出してくれるから素直に手を伸ばし受け取った。 「美味しいよね! 天音ちゃん、苺大福大好きだし」  いや、甘いもの全般大好きだよ。凌ちゃんと私は甘いもの同盟だと思うよ!  が、今はダメだ、無理なんだ。  ふと気づいたら周りの視線は、このやり取りの一部始終を遠巻きにじっとりと見ている凌ちゃんファンたち。  慶寿の取り巻きとは違い派手さはない変わりに、無言でじーっと見つめられる感じが怖い。
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