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助けて、五里霧中
町の中心部にある小高い丘の上には、天龍神社がある。
志龍家の遠縁にあたる宮司、志龍 満さんが管理をしている場所だ。
叔父さんと呼ぶには微妙でお兄さんと呼ぶのも微妙な35歳、でも私は親しみを込めて満兄さんと呼ばせてもらっている。
時折息が詰まりそうになる時は、ここに来て息抜きをする。
学校帰りに天龍神社に寄って、夕飯までおよばれしてから帰ることも。
だって満兄さんのお嫁さんである結子さんのご飯ったら美味しくて美味しくて。
「おかわり、いいですか?」
まるで我が家のようにお茶碗を差し出す私に、結子さんは微笑んで満兄さんは呆れた顔でため息をついていた。
「今日はどうした? 最近、ここに寄ること増えてない?」
「そう? 別にそんなことないけど」
「ならいいけどね、天気が5月からずっとグズグズしていて今年は冷夏なんだなあと」
五月からを強調する満さんは、とってもイジワルだと思う。
あの誕生の席には満さんと結子さんも招かれていたから、全部知っているんだもの。
「天音は、あれから、お父さんと口きいてないんだって?」
「もうっ、なんで家のこと知ってるの?!」
「息吹が愚痴ってた。姉さんが、怒ってるせいでお父さんが落ち込んでるんだって」
息吹よ、心配なのはわかるけれどもイチイチ満兄さんに言いつけないで欲しい。
あの子もまた何かあると結子さんのお料理目当てにここに来ていたりする。
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