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どこから漏れてしまったのか?
きっと、あの場にいた誰かのでせいで、漏れ出たのは違いないのだろうけれど、本当に最悪だ。
志龍の姫の機嫌は損ねるな、意地悪なんかしたら一生お天道様を拝めなくなるんだぞ、なんて。
本当に迷惑、だから私には女友達ができない! そう憤っていたはずなのに。
腫れ物に触られるようにいた方が幾分かマシだった。
雨、雨、大雨、ここ数日、学校にいる間はずっとそう。
顔に出さないだけマシだと思って欲しい。
私の心のコントロールはどんどんと乱れていく。
「また雨~? いい加減にしてほしいわ」
クラスの中心的女子がチラリと私を横目で見ながら聞こえよがしに放った言葉に、グッと唇を噛みしめて鞄を持ち教室を飛び出す。
ついさっき登校したばかりで家に引き返そうとする私の横を、登校途中の生徒たちが過ぎていく。
「どこ行くの? もう早退する気?」
私の二の腕を引き止めたのは慶寿。
「放っておいて、頭痛いから帰るだけだし」
慶寿と私が話しているのを興味深そうに立ち止まって見ている生徒もいる。
ああ、きっとまた噂されるんだろうな。
三人の婚約者を手玉に取ってる志龍のお姫様って。
いない者としてくれてる方が気が楽だった。
こんなにも悪意のある視線が辛いことを知らなかったから――。
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