雪解け、見上げた天の川

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 唇を噛みしめて宗丞を睨み上げたら、また涙がボロボロ零れ始める。  そんな私の顔を見て、ギョッとしたように一瞬怯んだ顔をしてから、深いため息をついた。 「俺らはお前の母ちゃんにはなれない、なれねえけどよ。……側にいるから。絶対お前の側から離れたりなんかしないし、寂しいってんなら駆けつけるし。他にもなんでもいいから、俺らに言え。できるだけ聞いてやっから!! だから、それじゃダメか?」  ダメ、じゃない、ダメじゃないけど。 「あー! 今、オレらが親たちに言われたから、側にいるんじゃないかって。そう思ったでしょ? そういう使命だから側にいてくれるんでしょって。全然違うからね? オレらが姫のこと好きだから、側にいるんだからね」 「おい、慶寿! お前らと一緒にすんな! 俺は天音のことなんか」 「宗ちゃん、今更それはないでしょ? 天音ちゃんのこと助けに行こうって言い出したのは、宗ちゃ、」  なにか言いかけた凌ちゃんの口は、「うるせえ、黙れ」と顔を赤くした宗丞の手で塞がれた。   「とにかく、な? 母ちゃんが死んだのはお前のせいじゃない」 「けど、私ずっと曇りにしかできなくて、夏なのに! だから、きっと寒くて風邪ひかせちゃって」 「違う!! おばさんは、前から人より体が弱かったし、な? それにお前、頑張ってたじゃんか。女子から仲間外れにされたって、泣かないようにずっと踏ん張ってたの俺らは、ちゃんと知ってるから」  知ってたんだ……。毎日、学校に行くのが憂鬱でグズグズしてたこと。 「うちの母さんにさ、姫のお母さんが言ってたって。姫が無理ばかりするのが心配だって。子供らしく泣いたりするのも全部我慢してるって。普通の家の子だったら、もっとワガママ言って甘えてもいいのにねって」 『大切なお友達にだって心を開いてね、辛い時は辛いんだって言わなきゃ。あなたは無理ばかりしちゃうから、母様は本当に心配よ』  母様は、本当にずっと私のことを心配してくれていた。 「無理しないでよ、天音ちゃん。あのね、慶ちゃんもね、今勉強してるんだよ、天音ちゃんの役にたつ書物を集めたりなんかして。なんでだと思う? 天音ちゃんが、心置きなく怒ったり泣いたりできる場所を、慶ちゃんは、」  今度は慶寿がニッコリ笑ったままで、凌ちゃんの口をつまむようにして塞いだ。
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