2人が本棚に入れています
本棚に追加
/13ページ
『たぶんみんな一度はある』
「創作の神様創作の神様、お願いします」
雪より白いテクスト画面に向かって両手を組み、一心不乱に希う。
「ネタをくださいネタをください。印刷所の〆切まであと三日なんです。私の◯◯×△△本を待っている人がいてくれるんです。二年ぶりのイベントなんです。落とすわけにはいきません。お願いします!」
「そんなことしたって〆切は延びないから、いいからとにかく書きなさい」
表紙を描いてくれる夫が、私の祈りを一蹴し、タブレットに走らせるペンの速度を上げる。
南無三。ずっと温めていたあの伝家の宝刀を持ち出すか。私は神頼みをやめて、今まで胸に仕舞っていたネタを書くことにした。
最後は祈りではなく、自分の力だ。
291文字。
第83回Twitter300字SS様参加作品。お題『祈る』。
コミケ100の申し込みは大盛況だそうで。
最初のコメントを投稿しよう!