『たぶんみんな一度はある』

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『たぶんみんな一度はある』

「創作の神様創作の神様、お願いします」  雪より白いテクスト画面に向かって両手を組み、一心不乱に希う。 「ネタをくださいネタをください。印刷所の〆切まであと三日なんです。私の◯◯×△△本を待っている人がいてくれるんです。二年ぶりのイベントなんです。落とすわけにはいきません。お願いします!」 「そんなことしたって〆切は延びないから、いいからとにかく書きなさい」  表紙を描いてくれる夫が、私の祈りを一蹴し、タブレットに走らせるペンの速度を上げる。  南無三。ずっと温めていたあの伝家の宝刀を持ち出すか。私は神頼みをやめて、今まで胸に仕舞っていたネタを書くことにした。  最後は祈りではなく、自分の力だ。 291文字。 第83回Twitter300字SS様参加作品。お題『祈る』。 コミケ100の申し込みは大盛況だそうで。
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