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『すっぱい葡萄殺猿事件』
森の樹の、高いところにある葡萄を、狐が食べようとした。しかし、何度飛び上がっても、葡萄には届かない。
「どうせあんなところにある葡萄なんて、食べられたものじゃあない」
不貞腐れて立ち去ろうとする狐の目の前で、猿がすいすいと樹を登ってゆく。
「へへっ、負け惜しみを」
猿は狐を嘲笑いながら葡萄を一房もぎ取り、かじりついて……白目を剥き、泡を噴いて落下した。
後日、猿の急死の謎を解きにきた熊の警官は、葡萄の樹木の根元に、狂い咲きの福寿草を見つけた。
「だから、食べられたものじゃあないって言っただろう?」
狐は呆れ顔でぼやくと、ゆるりと立ち去るのであった。
270文字。
第91回Twitter300字SS様参加作品。お題『謎』。
童話を斜め上から切りつけるシリーズが始まってしまいました。
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