誉れ

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サルは激怒した。 必ずあの邪智暴虐のお館様を除かねばならないと決意した。 サルは細かいことはよくわからない。だが今のお館様が変わってしまったことだけは、理解できた。 今のお館様は、サルにとって、あの時の強きをくじき弱きを助ける、尊敬できるお館様ではないのだ。 サルは幸せだったあの頃を思い出していた。 一緒に敵の根城に攻め入り、殲滅したあの日。 「良くやった。褒めてつかわす」 国に帰ってきた際のその一言で、自分はどこまでも木を登り続けることができるような高揚感を味わった。 土に塗れて走り回るだけの、なんの取り柄もなかった自分を取り立てて、ここまで重用してくれたのは、間違いなくお館様だ。 だが、敵を破り、たくさんの財宝と共に帰国して、周りからチヤホヤされたからだろうか。 あの後からお館様は変わってしまった。 救世主と崇められるばかりか、敵の元から持ち帰った金銀財宝を目当てに近寄る輩も多く、お館様の鼻は伸びるばかり。 次第に、独裁的な言動や振る舞いが目にあまるようになってきた。
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