兄の後悔

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――― 「ジョークだって、ジョーク。でもホント久しぶりだよな。元気してたか?」 「まぁ……ぼちぼちね。」 「っていうか褒めてくれるんだろ?俺、超頑張ったんだぜ。ほらほら、思う存分褒めていいぞ。」 『わんわん!』と擬音がつきそうな顔で言う蘭に、蝶子はため息を吐いて顔を逸らした。 「はぁ~……褒める気が失せたわ。」 「何だよ……」 今度は『ぷぅ』っと頬を膨らます蘭を見て、やっと蝶子の顔に笑みが浮かんだ。 「俺のいない間にさ、何か変わった事あった?」 「いない間って?桶狭間に行ってる間って事?特に何も……」 「違う、違う。今川のところに行ってからって事。あの時だってゆっくり話出来なかったしさ。どんな事があったのか、知りたいんだ。」 (って言って、本当は信勝さんがどうなったか知りたいだけなんだけど……) 心の中でそう思いつつ、蘭は蝶子の返事を待った。 .
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