兄の後悔

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――― 「俺は必ず天下を獲る。何があっても、誰が邪魔しようとしても。」 「信長様……」 「最期の、約束だからな。」 そこでふっと優しい笑みを見せる。初めて見るその顔に見惚れていると、突然信長が廊下に向かって歩き始めた。 「あ、あの何処に……?」 「俺は忙しいんだ。これで話は終わりなのだろう?」 「えぇ……」 「休めと言ったのに休まぬ罰だ。利家を迎えに行く算段が出来るまでお前は部屋から出るな。」 「え……」 「特別に帰蝶と市には、お前の部屋に入る許しを出すがな。」 照れくさそうにそう言い終わると、信長はさっさと大広間を出ていった。 「ツンデレか……」 蘭は悶えながらそう言った…… .
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