甲斐の虎

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――― 信玄は甲斐武田家の当主で甲斐国の守護大名である。 実の父親を国外へ追放して家督を無理矢理奪い取ったという豪快な人物で、その政策も独自の考えを押し通すといったやり方で甲斐国だけではなく、信濃国のほとんどの城を攻め落とした。 そんな無双状態の理由は先程勝頼が口にしたが、信玄の持つ特別な力のお陰である。 信玄には『念力』という超能力があり、物を触らずに動かす事が出来る。そしてそれだけではなく、人の心をも動かす事が出来るという何とも不思議な能力であった。 その力を使って信玄は、駿河の今川義元と相模の北条氏康を懐柔して三国同盟を実現させた。武力で勝利した戦もあったが、半分程はこの『念力』の力を使ってものにしたという恐ろしい人物だ。 「織田信長……か。いずれ対戦する事になるだろうが、今は武田の領域を広げる事が優先事項だ。さて、謙信公はどう動くかな。」 信玄は面白そうにそう言うと勝頼が来る前にやっていた、『念力』を使って茶碗を転がす遊びを再開した。 .
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