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尾張、清洲城
桶狭間から戻ってきた蘭と信長は、数日後大広間にて対面した。
「なるほど。越後の龍・上杉謙信と甲斐の虎・武田信玄ですか。確かにテキストにもそう書かれていました。本当にそう呼ばれていたんですね。」
「感心している場合ではないぞ、蘭丸。義元の次はこの二人。あるいは相模の北条氏康を潰さんといかん。今後どういう風に展開していくのだ?この戦乱の世は。」
「それは……」
そこで蘭丸は言葉に詰まった。それは言えないという事ではなく、そんなに詳しく知らないからという事だった。
「何だ、知らんのか?」
「す、すみません!まだ大まかにしか勉強してなくて……でもこれはわかります。川中島という所で上杉と武田は五回も戦を繰り返すんですが、中々決着がつかないんですよ。結局二人は病死という事になって、どちらが本当に強いのかわからずじまいなんです。」
「ほぉ……病死とな。」
「あ!」
「まぁでもこの世界には能力者が何人もいる。謙信や信玄に何かしらの力がもしあるのなら、油断は出来ぬぞ。」
信長に睨まれて蘭はしゅんと小さくなった。
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