担任教師と美少女と同居

1/1
24人が本棚に入れています
本棚に追加
/44ページ

担任教師と美少女と同居

 春のうららかな日差しが優しく頬をなでる今日この頃、俺と彼女は出会ったんだ。きっとそれは、偶然ではなく必然だったのかもしれない。 「先生、よろしくね」  かわいい声と顔を持ち合わせた17歳が目の前に立っていた。突然俺の前に現れた美しい少女。優しい風と共に頬をくすぐるような笑顔。その美少女の名前は野咲カレンという。美少女は俺を見上げてほほ笑んだ。まるで野に咲く1輪の可憐な花のようだった。1輪だけでも存在感があり、ひときわ目立つ存在、放っておけないようなはかなさも兼ね揃えている、第一印象は、そんな感じだった。今日から同居するって? ひとつ屋根の下で暮らすって?  一応、俺は同居には反対したのだが、俺の両親とカレンの両親が勝手に話を進めていたようだ。そして、今日が初対面――ドキドキしていることを悟られないように必死で平静を装った。  まずは自己紹介をしよう。俺の名前林堂恭介(りんどうきょうすけ)。伝統ある女子高の教師をしている。ちなみに、男女交際は絶対禁止の高校だ。校則が厳しい、いわゆるお嬢様学校である。俺は新卒の教師でこの春から野咲カレンの担任となる。自分でいうのもなんだが、俺は教師の中で1番若い23歳だ。そんな俺と勤務先の高校で1番かわいい生徒が俺と同居することになった。何かがはじまる、そんな予感しかないよな?    なぜ同居することになったかって? カレンの親が海外赴任をしている間、俺の家で居候することになったというわけだ。親同士が学生時代から仲良しで、俺の家は土地が広く屋敷も広い。1人増えても困ることがない。俺の両親が女子生徒の保護者がわりとして面倒を見てもいいということで同居となったのだ。    俺が女子生徒の担任をしているのも安心だというのだが、一応俺の勤務先のお嬢様学校には秘密にしている。色々と面倒だし、幸い俺の家は敷地が広い。書類上住所も隣ということにして、ごまかすことができるのだ。    まずい……ちょっと俺、ドキドキわくわくしてきた……。――なんて思いながら、表情には一切出さない。大人になり切っていない俺は、大人のふりをする。    ここは女子高校。ゆえに男子がいないので、男の若い教師はモテる。イケメンではなくてもモテキが来る場所。俺はここで働いてからモテキが来たような気がする。自分でいうのもなんだが、顔は悪くないし、服装も黒いスーツでばっちりきめているつもりだ。正直似合っている……と思う。清潔感には割と自信がある。    今日もラブレターなるものをもらった。自分が学生の頃はもらったこともないのに、ここ最近はよくもらう。視線を感じると思ったら――そんな俺のモテキをカレンが見ていた。     「先生、最近モテてるよね?」 「おい、ここは学校だぞ」   小声で答える。同居がばれないように、学校では必要以上には話したくはなかった。      階段をのぼる途中、カレンが上の段から見下ろす。あごをくいっとされた。この娘、サディスティックな一面を持っている。この俺をからかうつもりか? 「先生は女子高だからモテるだけ。勘違いしないでよね」 「わかってるつもりだ」 「誰かのモノになったら、承知しないぞ」 「???」    カレンは振り返りざまに俺をからかう。名付けるのならば、魅惑の微笑みの美少女とでも言おうか。でも、俺は生徒には手をださん。大人だからな。  
/44ページ

最初のコメントを投稿しよう!