黄泉への切符

始まり

「……うわぁー」

人は死んだらどこに行くと思う？
なんでこんな質問をするかって？
決まってる。

私、ついさっき死んだからです。
交通事故です。車にポーンと跳ね飛ばされました。
実際はそんな可愛い効果音じゃなかったけど。
今頃、ドラマでよく見る病院での最期のお別れとかやってるんだろうか。

「それは……見なくて良かったかも。」

親の泣いてる姿は見たくない。
享年18歳…短い生涯だった。お父さん、お母さん。親不孝な娘でごめん。

さて、冒頭の質問に戻ろうと思う。
私は天国地獄とか、いわゆる『あの世の世界』は信じてる派だ。てっきり、綺麗な花畑や果てしなく長い川や白装束の人々が行き交ってるとか、そんな感じを想像してた。……けど、

ポーン
『まもなく、１番線電車が到着します。境界経由三途駅行きです。』
『２番線電車、特急阿鼻駅行き。間もなく発車いたします。』
ザワザワ
「天国行きの切符発券15分待ちでーす！」
「おばあちゃん！生前階段から落ちてるんだから、エレベーター使って！そうしたら、すぐ右に電車来るから！」

「…マジか。」

眼前に広がる光景。
券売機、改札、そして電車。

死んで行き着いたのは、駅でした。