始まり

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プァーン  ガタンゴトン 生きている時に飽きるほど聞いた線路を進む電車の音。高校の時は世話になったなー。 しみじみと思うが、行き先はさっき聞いたとおりなら天国か地獄である。地獄行きの電車なんてすすんで乗る人がいるのだろうか。 「嫌だぁーっっっ!!!」 「?!!」 ビビった。 腹の底どころか、断末魔を思わせるくらいの絶叫。 「オレは天国に行くんだ!!地獄なんて行きたくねぇーっ!!」 叫び声の主は柱にへばり付き、涙ながらに叫んでいた。蝉か。 駅員数人が引っ張ってるが、まったく離れない。 ロシアの童謡か。カブ食べたくなってきた。 「次の黒縄駅経由はあとどれくらいで来る?!」 「あと5分です!」 「次は快速特急で45分先です!」 「5分のに意地でも乗せるぞ!!」 駅員さんも大変だ。 「騒がしい。近所迷惑です。叫ぶ労力があるなら罪を贖う方へ回しなさい。」
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