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【第一章 人魚の島】
その島は、日本のどこかにあった。
詳しい場所は誰も知らない。
いや、誰も、というのは些か大仰か。
関係者以外には知られていない、という方が正しいのだろう。
そんなどこにあるのかも定かではないとある島に、俺らは向かっていた。なんと、専用の自家用ジェットで。
『当機は間もなく着陸いたします。皆さま、今一度、シートベルトをご確認ください』
機内にアナウンスが流れた。
俺、御園樹(みその・いつき)はワクワクしながら、シートベルトを確認し、窓の外を眺めてみた。
どこまでも、海しか見えない。
「なぁ、嘉月。もうすぐ着陸って、どこに? まさか、海じゃないよな」
「阿保か、お前は。島に決まってるだろう」
嘉月(かづき)は呆れた様子で、やはりシートベルトを確認する。
安心安全とわかっていても、確認せずにはいられないんだろうな。
なにせ、自家用ジェットなんて、初めて乗ったんだから。
「うわぁ、わくわくするなぁ。どんな島なのかな」
「さっきまでヨダレたらして寝てたくせに」
「うっせぇ! 余計なお世話だ!」
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