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「どっちに行く?」
「地上でいう、東棟の方向」
「てことは……こっちか」
嘉月は基本的に左脳人間なので、こういう時頼りになる。多分、脳内に地図が描かれてるんだろうな。
通路は基本的に一本道だった。が、ところどころで90度、または45度の角度で曲がっている。俺の頭では、現在どっち方向に向かっているのか、全くわからない状態だ。真っ暗なので燭台の明かりだけが頼りでもあり、嘉月にぴったりくっついていないと遭難してしまいそうな気分になっていた。
「波の音がするな」
「すぐ外は海なのかもね」
「崩れないだろうな、この道」
「大丈夫と信じて進むしかないって」
「そうだな」
「ねぇ、嘉月」
「なんだ」
俺は場違いとわかっていながら、話はじめた。
「嘉月のお祖父さん、あ、御園じゃない方の。世界中を旅行してたんだろ? すごいよなぁ。いろんな冒険したんだろうな。こんな地下通路も歩いたかな」
「さぁな。海外の城なんかも渡り歩いたそうだから、経験あったかもな」
「羨ましい。俺も、いつか行ってみたいな」
「応援するぞ。けど、現地に愛人作りまくるのは絶対やめとけ」
「肝に銘じとく」
「……あ」
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