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その時。ふと、嘉月が立ち止まった。
「どうした」
「灯が見える……? ここ、扉になっているのか」
通路の左側に、一筋の光が見えた。
確かに、扉から光が漏れ出しているように見える。
「嘉月、場所、変わって。あ、ほんとだ。これ、動きそう」
嘉月のみつけた扉らしき岩を、そっと押してみる。と、横にスライドした。その先には……眩しい光。今まで暗闇に慣れていたぶん、眩しすぎると感じる光に、思わず目を閉じる。
しばらくして、すこしずつ目をひらくと、そこにいたのは。
「なんだ、意外と早かったじゃないか」
「紫乃さん。玲央さん……先生も」
「……こいつらっ」
いきり立つ嘉月を宥めながら言う。
「待てよ、嘉月。彼らが犯人ってわけじゃない」
「だが、俺たちを閉じ込めて……」
「これもゲームのうちなんだろ。考えてもみろよ。本気だったら、抜け道のある部屋なんて選ばない。あれ、お芝居ですよね、紫乃さん」
「そこまでわかっていたのか」
「一応、名探偵なんで」
「それで? 犯人は、わかったのか」
「犯人?! それは、この屋敷の」
「黙れ、御園嘉月。今は紫乃さまが話をしている」
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