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意気込んだ嘉月だったが、玲央さんに一喝されてしまった。
紫乃さんが、透明な声で問いかける。
「御園樹。お前に問う。犯人は、事件の真相はわかったのか」
「わかりました。まず、犯人は……こいつです」
俺は、無言で、犯人を指さした。
それは……嘉月。
「ほう、犯人は御園嘉月か。意外だったな」
「なんのことだ?! 俺は、何もしてないぞ」
「うん、でも、この件についての犯人は、嘉月だよ」
「この件、か」
「ていうか、嘉月のお祖父さん……かな」
「……意味がわからん。まったくわからん」
場が混乱しているのをみてとった高槻先生が、のんびりとした口調で提案してくれる。
「立ち話もなんですし、お話はお茶でも飲みながら、ゆっくりとお伺いしましょう」
改めて周囲を見渡すと、石造りの、それなりに広い部屋だった。調度品も整えられており、お茶の用意までされている。
「そうですね、そうします。おい、嘉月。お前もいただこうぜ。この際、珈琲だなんだって文句言うなよ」
「……ああ。犯人扱いされたことについて、ハッキリさせてもらおう」
あはは。
嘉月、かなりお怒りだ。
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