久しぶり

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久しぶり

「家庭科室って遠いよねー」 「調理実習は楽しいんだけどね」 昼休み後半。 私は友人たちと昼ごはんを食べて、移動先へ向かっていた。 ーー奇妙な写真を見た日から2日が経った。 あの文字は今でも消えていない。 ただでさえ胸がモヤモヤするのに、今日はお母さんの調子が悪く、部屋に引きこもって泣いているもんだから、余計に気分が暗かった。 長い廊下の角を曲がって、渡り廊下に入る。 私は窓の外を見た。今日は曇りで、見える景色は全体的に薄暗い。はぁ、ホントに気が滅入るわ……。 「あ」 何気なく下を見て、私は立ち止まった。 この窓の外は中庭だ。ーーそこで、あの子を見つけたのだ。中庭の隅に置かれた自動販売機の前に立っている。その両手には何本かの缶を持っている。 「生駒さん? どうかした?」 友人たちが振り返ってきたのと、あの子の手から缶ジュースが1本落ちたのは、まったく同じタイミングだった。 あの子はそれを拾おうとして、2本目も落としてしまった。缶はコロコロと転がって、あの子からどんどん離れていく。 ーーあ、3本目も落とした……。 「ごめん! 忘れ物したから先に行ってて!」 私は気づけば、友人たちにそう言っていた。考えるより先に足が動いていた。 返事も聞かずに走って行ったから、 「……え? 急にどうしたんだろう?」 「わ、分かんない。でも生駒さんがあんなに大きな声を出したの初めてだね」 2人の会話は聞こえなかった。 ーーーーー
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