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「そうね、確かにまだまだ知らないことだらけなんだろうなー。それだったら、教えてよ。うさぴょんのこと。もっと知りたい」
真夏の太陽というより、これはむしろ台風だ、と思った。物凄い風速で、辺りを巻き込んでいく。
そして私はもう、巻き込まれている。
取り戻したと思っていた平穏は、やっぱり幻だったのかもしれない。
逃れられない。だったらもう、なるようになればいい。
それに、以前ほど嫌悪感を感じていない自分がいることに、私は気付き始めていた。
「谷津…くん、変わってる」
どちらにせよ、変人であることは確かだ。「お、初めて名前呼んでくれた」と嬉しそうに言った後、ヤツは私にこう指摘した。
「でもねうさぴょん、ちょっとイントネーションが違うな」
あっ、と思ったけれど、まあいいか、とすぐに私は開き直った。
ヤツとこれからも関わっていくからには、私ももっと図太くなければならないと思ったからだ。
【fin.】
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