4人が本棚に入れています
本棚に追加
/22ページ
「でもさ、今ノリでうさぴょんって呼んじゃったけど、なんかこれ結構良くない?親しみがあるっていうか、距離が縮まるっていうか」
どうして親しむ必要があるのだろう。どうして距離を縮める必要があるのだろう。
もう、しびれを切らしてもいいだろうか。
「いい加減にして」そう言おうとした所で、電車が止まった。
「宇佐美さんと話してるとほんとあっという間だなー。んじゃ、また明日。宇佐美さん…じゃなくって、うさぴょん」
そこはヤツの降りる駅だった。
今日で終止符を打とうと思っていたのに、ヤツはひらっと手を振って、私の気も知らずにあっさりホームに降り立ってしまった。
『宇佐美さんと話していると』って、ヤツは正気なのだろうか。はっきり言って私はほとんど口を開いていない。ヤツが一人でぺらぺら喋っているだけだ。
最初のコメントを投稿しよう!