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別に、演技だとバレた所で特段問題はないのだ。むしろ、そこからヤツは自分の頭で考えるべきだ。
じゃあどうして私はわざわざ電話するフリなんかしていたのか。
いい加減、自分の存在が鬱陶しがられているということを、ヤツは自覚したほうがいい。
けれどヤツはまだ一方的に話し続ける。
「遠くからでも分かったよ、宇佐美さんだって。それで近付いていったら電話中っぽかったからさ、コンビニの中に入ってちょっと待ってたのね。でも、おやおや?と思って。これはもしかして、俺を撒くための作戦か?ってね。それで今声掛けてさりげなく確認してみたってわけ。あ、大丈夫心配しないで。宇佐美さん、いっつも嫌な顔するからさ。今日はちょっとでも喜ばせようと思って…はいこれ、俺の奢り」
ヤツの言う『心配しないで』の意味がまるで分からない。
レジ袋の中から取り出したガリガリ君を、ヤツは私に差し出してきた。
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