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きっと神出鬼没で、急に襲いかかってくるに違いない。
そう考えると震えあがった。
職員室では昇降口の鍵を手に入れることができた。
鍵は結子がしっかりと握りしめている。
しかし、笑が電話を確認してみるとどこにもつながらないことがわかった。
俺も試しに他の電話の受話器を持ち上げてみたけれど、いつら番号を押しても呼び出し音が聞こえなかった。
「悪霊になったのかもしれない」
みんなが議論する中、俺は呟いた。
小学生のころ、こういう映画を見たことがあったのだ。
学生ばかり数人で学校内に閉じ込められて、自殺した友人が悪霊となって追いかけてくる映画だ。
俺は見たくないと言ったのに、姉貴が『男ならこのくらい見なさいよ』と言って無理やり見せてきたんだ。
その時の映像は今でもトラウマになっている。
だから、今この状況が誰よりも怖かった。
「悪霊?」
結子が首をかしげて聞き返してきた。
俺は頷く。
「あぁ。だって、新は事故死だったろ? なにもわからない間に事故に遭って死んじまったんだ。その魂が悪霊になって今も残っててもおかしくないだろ?」
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