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俺はいたって真剣に伝えた。
非現実的なことが起こっている状況だ。
あり得ない話じゃないと思う。
「そうだとすると、どうにかして新の気持ちを鎮めないと」
幹生が言う。
俺は何度も頷いた。
ゲーム好きな幹生はすぐに理解してくれたみたいで、安心した。
味方が1人でもいるとわかると、強い気持ちになれる。
「そんなの、どうやって鎮めるんだよ」
和樹が聞くが、それには返事ができなかった。
映画やゲームの中では明らかにこれといった原因が提示されている。
イジメとか、計画された事故死だったりとか、
が、今は違った。
仮に計画された事故死だったとしても、俺たちに原因はわからない。
みんなで黙り込んでしまったとき、不意に職員室のドアが開いた。
視線を向けるとそこには新の姿があった。
「うわぁあああ!」
思わず情けない悲鳴を上げてしまう。
怖いものは怖いのだから仕方がない。
入口の近くにいた幹生が腕を掴まれるのを見た。
他のメンバーは咄嗟に逃げ出す。
「ま、待ってくれ!」
俺は足をからませながら逃げだした。
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