合宿

1/4
前へ
/176ページ
次へ

合宿

都心の肌が焼けるような熱さから逃れた先は、山奥の合宿所だった。 映画部の1年生6人と、顧問の男性教員1人、計7人で大きすぎる建物を見上げる。 「普通の学校と同じくらいの大きさだね」 大きなキャリーバッグを転がしながら歩いて来た、小谷祐里(コタニ ユウリ)があたし、長田恵里菜(ナガタ エリナ)の隣で立ちどまり、そう言った。 「昔小学校だったみたいだよ」 あたしは祐里へ向けてそう返事をした。 見上げた建物は3回建てで、あたしたちの通う藤棚高校と同じくらいの広さを感じらせた。 校舎手前のグラウンドも広くて、生徒たちが遊んでいた様子が思い浮かんできた。 「こんな場所に小学校を建てるなんてどうかしてる」 そう言ったのは湯本亮輔(ユモト リョウスケ)。 確かに、ここへ来るまでに途中でバスを降り、底から更に1時間ほど山道を歩い て来た。 「特別な学校だったんだよ、きっと」 あたしはそう呟いて校舎を見上げた。 灰色のコンクリート塀はアチコチがひび割れて、もう長い間使われていないことがわかった。 「特別な学校って?」
/176ページ

最初のコメントを投稿しよう!

21人が本棚に入れています
本棚に追加