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孝利は棚に置かれている映画のブルーレイディスクを眩しそうに見つめている。
「あたしこれが好き」
あたしは孝利の隣に立ち、1990年代に作成されたホラー映画を手に取った。
あたしたちが産れる前の作品だけれど、日本のホラー映画の中でこれ以上の作品を見たことがなかった。
「あぁ! 俺も何度も見たよ。これをキッカケにしてホラーに興味を持ったんだ」
「そうなんだ。シナリオを書くキッカケになったの?」
「もちろん」
孝利は藤棚高校の映画部に入部する前から、ちょっとした自作映画を作っている経験者だった。
まだその作品を見たことはないが、シナリオ段階のものは何本か読ませてもらったことがある。
そのどれもがホラー作品だった。
「2人ともなにしてんの? 早くこっちおいでよ」
祐里にそう言われ、あたしは振り向いた。
気が付くと全員ソファに座っていて、テレビの前には先生が立っている。
映画の話しになるとつい周りが見えなくなってしまうのが悪いところだった。
「行こう」
孝利に促され、あたしは頷いたのだった。
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