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「この部屋じゃダメなんですか?」
そう言ったのは麻由子だった。
できればこの大画面テレビで見てみたい。
「このテレビを使うのは、プロの作品を見る時だけだ」
「なぁんだ。ケチだなぁ」
亮輔がふくれっ面をしてそう言った。
「いいから、隣の部屋に移動するぞ」
そう言われて、あたしたち6人は隣の試写会室と書かれた部屋に移動をした。
さきほどの休憩室に比べると半分くらいの広さで、椅子もテーブルもない和室だった。
テレビも小さく、こちらに置いてるのはDVDレコーダーだ。
「なんか、一気にしょぼくなったね……」
麻由子が部屋を一瞥してそう言った。
「いつでも、1人の時でも先輩の作品を見れるようにしたんだ。1人ならあんなに大画面は必要ないだろ?」
浅野先生の言葉に麻由子は首を傾げながらも頷く。
言うならば、ここは勉強部屋みたいだ。
隣の休憩室は娯楽。
「で、先輩の作品はこっち」
浅野先生が先を歩き、部屋の奥にあるドアを開いた。
途端に冷気が身を包み込んで、あたしは身震いをした。
「なんだこの部屋。やけに寒いな」
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