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高校の入学祝いに、両親がくれた茶色く細いベルトのものだった。
今は午後5時過ぎだ。
ここへ上がって来るまでと、掃除に時間がかかり過ぎてしまったようだ。
こんなに沢山の作品があると知っていれば、もっと早足で登って来たのに。
そう思って奥歯を噛みしめた。
悔しさを感じるくらい、ここは宝庫なのだ。
「なんだろうこれ」
棚を流すように眺めていた亮輔が1本の作品を手に取ってそう言った。
見てみると、その作品にはタイトルが書かれていないことがわかった。
「先生、これも先輩の作品ですか?」
あたしがそう聞くと、浅野先生は眉間にシワを寄せて「タイトルは必ず書いてあるハズだけどだぁ」と、唸った。
これだけ沢山の作品があるから、ちゃんと把握できていなかったみたいだ。
「このタイトルがないやつ面白そうじゃん。これ見ようぜ」
亮輔がみんなへ向けてそう言う。
確かに気になる。
だけど、今日見れるの作品は1本だけなんだ。
それなら今映画界で活躍している先輩の過去作品を見たかった。
「ごめん、今日はこれが見たんだ」
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