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「か、和美、さん……!」
俺は背中を押さえながら、うめいた。和美さんは、開いたドアの裏に隠れていたのだ。そしてその顔は、確かに和美さんだったが……俺の知っている和美さんの表情ではなかった。そうだ、あれは和美さんじゃない……!
「仁美!」
先輩が叫んだ。
「ははははは! わたしを、殺したと思ったかい? そうはいかないよ、もともとわたしは“死んで”いたんだからねえ……」
“仁美”は、可笑しそうに笑った。これが、“仁美”か。和美さんの顔をしたものが、こんな事を。こんな表情を……!
俺は、先輩の狂気の理由が、今わかった。 愛する者を奪われ、そしてその愛する者が陵辱されている。とても、正気を保つなんて出来やしない……!
「はあっ!」
“仁美”が、とても人間とは思えないスピードで、襲い掛かってきた。狙いは、先輩の方だった。痛みに苦しむ俺の脇をすり抜けると、仁美は振りかざしたナイフを先輩に突き立てた。
「ぐうっ!」
先輩はとっさに身をよじったが、避けきれなかった。先輩の右肩から、「どっ」と血が吹き出してきた。
仁美は部屋の反対側にそのまま着地すると、くるっと向きを変え、また飛び掛ってきた。
「がっ!」
右肩を押さえた先輩の、今度は左わき腹のあたりを、ナイフがとらえた。
「ぐぐ……」
先輩の脚が、「がくっ」と折れた。
仁美のこの動きの素早さは、尋常じゃない……!
「しぶとい奴め!」
仁美は更に、先輩に踊りかかった。
先輩は、肩とわき腹を押さえ、防御ができない。
俺は……
A:後ろから仁美に飛びかかった。→次ページへ
B:その場にただ座り込んでいた。→→101ページへ
C:仁美と先輩の間に、自分の身体をねじ込んだ。→97ページへ
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