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俺は、何か武器になるものはないかと、あたりを見回した。
靴、靴べら、電話帳……だめだ、とても武器には使えない。
「だから……私の邪魔をした奴らを、私は許さない!」
なおも激高する仁美を見ながら、俺は自分のポケットをまさぐった。財布、タバコ、ライター……ライターか。これは、使えるかも……?
「思い知るがいい!」
その時、何かに突き飛ばされた様な衝撃が俺を襲った。
「うわっ!」
衝撃に弾き飛ばされ、俺と先輩は玄関の床に思い切り叩きつけられた。
「ぐぅぅ……」
腰をしたたか打ち付け、身動きがとれない。先輩は、頭を打ったのか、うずくまり頭を抱えている。何だ、今のは……?
「どうだ、これも私の“力”だ! わかったか! 私は復讐のため、こうやって魂だけで生き延びてきた……」
仁美の奴、こんな“力”まで手に入れたのか。肉体は死んでも、魂だけで生き延び、和美さんの体の中に潜み。そして今は、死んでしまった和美さんの肉体を操っている。しかも、こんな“念力”みたいな力まで。なんて奴だ……!
「それ!」
また、あの衝撃波が襲ってきた。がくん!と いう衝撃とともに、俺と先輩は、今度は玄関下まで吹っ飛ばされた。
「ぐあっ!」
激痛が後頭部を襲った。おそるおそる、手を後ろに回してみると、血がべっとりと付いていた。先輩は、かすかにうめき声をあげるだけで、ピクリとも動かない。
「やめろ……こんなことをして、何になる?」
俺は激しい痛みに耐えながら、仁美に訴えた。そしてそっと、右手をポケットの中にしのばせ、ライターをぎゅっと握りしめた。
俺は……
A:ライターに気づかれぬよう、仁美を挑発した。→102ページへ
B:ひっそりと仁美の隙をうかがった。→107ページへ
C:どこか逃げ道はないかと、あたりを見回した。→次ページへ
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