夜に、叫ぶ。

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 俺は、思わずその場に泣き崩れてしまった。 「先輩……嘘だろ? 和美さんだけじゃなく、先輩まで……!」  仁美はこっちを見ながら、まだニヤニヤと笑っている。 「なんだ、もう死んじまったのか? あんがい、あっけなかったな。もっとタフな奴かと思っていたが」  俺はm全身の力が抜けていくのを感じた。もうダメだ。俺一人では、どうすることもできない……。 「……これで終わりか? 俺は、どうする気だ…・・?」  俺の覚悟を決めたかのような問いかけに、仁美は、くすくすと笑いながら答えた。 「そうだな……和美も、そいつも死んじまったからな。もうこれ以上はやる事もない」  俺は、仁美の顔を見ずに、呟いた。 「……俺も、殺してくれ……」  仁美は俺を見つめ、そして、宣言を下すかのように言った。 「ふふふ……お前も、生きる気力が失せたか」  俺は、黙って頷いた。すると俺の身体が、「すうっ」と宙に浮かび始めた。 「望みどおり、楽にしてやろう……」  仁美のなすがまま、俺の身体は空中で一旦停止した。 「これで、終わりだ」  突然、俺は物凄い力で、下へと引っ張られた。そして、そのまま床へと激突した。  ぐわぁぁぁん……!!  激しい痛みが全身に走った。意識が徐々に、薄れていく。    和美さん、先輩。俺もすぐに、そっちへいくよ……。  激痛に襲われながら、なぜか心は安らいでいた。  俺は口元にわずかな笑みを浮かべ、静かに目を閉じた。  ―了― (Bad ending-"21)      
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