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だいぶ暗くなってきて、キャンドルを模した照明の数々が幻想的にも煌々と緑を照らしている。みんなは立ちながら談笑していたり、椅子にかけてデザートを食べたりお酒を飲んだりと、楽しんでいる様子だ。
私と南条さんは、会場の端のほうに準備されている、ラタンのカウチソファーにふたりで座っていた。今日出席してくれた人全員とお話ができたので、とりあえず小休憩だ。
「ありがたいですね、こんなに集まっていただいて、祝福してもらえて」
「そうですね」
南条さんが、みんなの様子を見ながら頷く。優しい風とジャズピアノの音楽が、耳に心地いい。
「気恥ずかしくて、こういう賑やかなことはしないつもりでしたけど、したらしたで楽しいし幸せですね。披露宴みたいにこちら主催じゃなく、あえて手配等の面倒を買ってでてくださった堤課長に感謝です」
「ほぼ、堤課長がひとりで勝手に進めていましたけどね」
「ふふ、堤課長が南条さん想いなのが伝わってきました。愛されてますね」
南条さんは、ソファーに背を預け、夜空を仰ぎながら「まぁ……」と言った。
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