南条×小宮

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 堤課長にものすごい角度からの質問を投げかけられ、私は「梅原ちゃん」と言いかけた口で噴きだす。 「うちは3人だけど、多いと賑やかで楽しいぞ? 大変なぶん、笑顔も3倍で」  チョコレートファウンテンに夢中の3人の子どもたちを見ながら、堤課長はカカカと笑っている。  ちょっとちょっと、隣に南条さんがいるのに子どもの話なんて、恥ずかしくてたまらないんですけど。予定もなにも、そんな話、まだ南条さんとすらしていないのに。 「こ……こればかりは、授かりものですので……」 「頑張ります」  南条さんの返事が私の言葉に重なって、私はまた「ぶっ」と言ってしまった。それと同時に、梅原ちゃんが「はっ?」と声を上げ、顔がいよいよ険しくなっていく。 「小宮さんの無理のない範囲でとは思いますが」  淡々と答える南条さんの背中を、堤課長が「おう、頑張れ頑張れ」と叩いた。 梅原ちゃんは、私たち全員の顔を見回しながら、 「ちょっ……や、やだなぁ、みんなでグルになって」  と、硬い作り笑顔。
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