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外で椅子に座っているからだろうか、交際前に私の家の近くの公園のベンチで話したことを思い出す。あの時は酔っていたから全部は思い出せていないのだけれど、夜空をバックにした南条さんの横顔が懐かしい。
「辻森さんとは……久しぶりだったのでは?」
「え? あぁ……はい。そうですね」
たしかにそうだった。会ったのは、南条さんとの交際開始直後に、堤課長含め三人で食事会をしたとき以来だ。
会社の電話では、普通に取り次いだり世間話をしたりしていたけれど、社内で婚約発表したのを機に私が総務部に異動になり、今までのような接点がなくなっていたのだ。
「握手……していましたが……」
南条さんはそう言いかけて、上に向けていた顔を今度は俯け、額を押さえた。
「すみません。結婚したというのに、不甲斐ないことを言ってしまいそうになります。今日の静佳さんは特にお綺麗なので」
「い、いえ……う……嬉しいです」
や……ヤキモチでしょうか、旦那様。たしかに、私が辻森さんと握手しているところを、じっと見られていたような……。
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