羽島×菜乃香

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 羽島さんも、私の態度に頬杖をつきながら鼻を鳴らした。 「……ねぇ、なんでいまだに外だとそんなに他人行儀なの? 今、周りに誰もいないんだし、敬語取ってもよくない?」 「オンとオフは、しっかり分けたいんです」 「今日はオフ扱いでいいでしょ」 「会社関係のパーティーが、なんでオフ扱いなんですか」 「はいはい、もういいです」  私と羽島さんの仲は、小宮さんと南条さん以外は知らない。当たり前だけれど、みんなに公表すると仕事がやりづらくなるからだ。古賀さんにも言っていない。  小宮さんたちも一部だけにしか知らせていなかったみたいだけれど、結婚のこともあって数ヶ月前に会社の人に公表してからは、もう大変だった。女子社員からのうらやましいの大合唱と、ずっと言いふらしたくて我慢していたらしい堤課長からのちょっかいの数々。  そして、社内の暗黙のルールもあって、南条さんの営業補佐から経理部へと異動になった小宮さん。結婚しても子どもができるまでは続けると言っていたし、今でも昼食はよく一緒に食べたりするけれど、正直、小宮さんが営業2課からいなくなって寂しいというのが本音だ。
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