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きょとんとしている先生に、「ホント、時峰は上司思いで」と、慌てて愛想笑いをしながら頭をかく辻森さん。
「ちなみに、サラも声がかかったらしいけど、今日は本当に予定があって来れないらしい。そっちも変に勘繰るなよ?」
「俺、何も言ってないですよ。それより、サラさんとそんなに頻繁に連絡取り合ってるんですね。傷のなめ合いで何か関係性が変わっていたりして」
最近では、堤さん抜きでも、ふたりでよく飲みに行っていると耳にした。俺的には、すでにいい仲になっているのではないかと踏んでいる。
「……お前、ホント他人のことに首つっこんだり、揚げ足取ったりするの好きだよな」
「ふふ、彼は昔からそうですよ」
先生がすかさずそう言うと、辻森さんは苦い顔を一気に明るくさせて先生の手を握った。
「さすが、よくご存じで。ていうか奥さん、時峰って取り乱すこととかあるんですか? いつも飄々としていて動じないし、可愛くない……いや、落ち着きすぎているんですが」
「あ、辻森さん、着いたばかりで、まだ南条さんたちに挨拶に行ってないんですよね? 行ったほうがいいんじゃないですか?」
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