羽島×菜乃香

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「1年半前。そのシュシュと一緒に渡そうと思って。でも、まだ交際始めたばっかりだったから重いだろうなと思ってやめて……それから渡すタイミング失ってた」 「…………」 「そしたら、南条に先を越されるとは」  苦虫を潰したような顔をしながら、腕組みをしてのけぞった羽島さん。大人だったり大人げなかったり、私たちはこれからも、互いの小憎たらしくて愛おしい様々な面を目の当たりにしていくのだろう。 「ぶ……」 「笑うなら返せ」 「あー、羽島課長と三浦さーん! こんなところにいた」  小宮さんの声が近付いてきて、私たちは近付けていた顔をパッと離した。 「ていうか、この場所、いいかもです! 今、時峰さんたちと写真を撮ろうって話をしていたんですけど、ここでみんなで撮りましょう」  満面の笑み……おそらく酔っているのであろう小宮さんが、南条さんや時峰さんたちをこちらへ手招きした。なぜか堤課長もついてきている。わらわらと移動してくるのを見て、私も羽島さんも立ち上がった。 「あ、じゃあ私が撮りますよ」  さりげなく、時峰さんの奥さんが手を上げる。さっき挨拶したけれど、とても綺麗で聡明そうな人だ。
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